メニュー

FOCUSスパコン利用者様の声_株式会社CAEソリューションズ

『我々のお客さんにFOCUSスパコンを使ってもらうと業務効率が上がることが、きちんと見えてきます。「スパコンは時間をお金で買っている」ことを実感できます。』

 

当初はこのサービスが民間企業にとって役に立つのか懐疑的でした。 しかし、すぐにそれが間違いであると分かりました。

  


株式会社CAEソリューションズ様は、CAE製品の販売、技術サポート、トレーニング、受託解析、コンサルティングを行うCAE技術会社です。2011年6月に高度計算科学研究支援センター内の貸研究室に入居され、お客様窓口となるテクニカルセンターを開設されました。また、実習室では定期的にハンズオン講習会を実施されるなど、企業のスパコン利用を支援されています。FOCUSスパコン運用初年度(2011年)から利用されている経験から、お話しいただきました。  

  
    

※以下は、FOCUSテクニカルセンター長の田倉様に同センターの運営、そしてOpenFOAMなどのサポート業務をされてきた観点からFOCUSスパコンの10年についてお話しいただきました。

貸研究室入居の経緯

2011年6月、財団の方が東京本社に来訪され、『計算資源を展開するけど、それだけでは使ってもらえないので、資源の中にきちんと使える道具(ソフトウェア)も入れて、皆さんに展開していきたい。流体のオープンソースで一番利用率が高いであろうOpenFOAMの サポートは、CAEソリューションズさんに実施していただきたい。拠点を設けてOpenFOAMの支援をして欲しい。』という趣旨の話をされたことがきっかけです。当社は日本国内で一番古くからOpenFOAMのビジネスをしておりますので、それでお声掛けして頂いたのだと思います。 FOCUSの存在ですか? その時まで知りませんでした。
結局、当時独身で動きやすい私が神戸に行くことになりました。40年近く東京から出たことが 無かった私の人生が激変した瞬間です。

FOCUSスパコン運用の10年について

FOCUSスパコンの印象は、今まで簡略化していたモデルもフルに計算できる外部計算資源が出てきたな、というイメージでした。
熱流体の計算では非常に多くの資源を使うため、今までは大企業が所有している社内資源や旧帝大系の計算センターを利用しないと計算が出来ない為、皆さん手が出なかった。しかし、FOCUSスパコンが、私は良い呼び方だと思っていますが『民間型エントリースパコン』として登場して、 「わざわざ買い揃えなくても、ちょっと使いたいときに、その分の費用だけ払えば、今まで出来なかった計算が出来るかもしれない」ということになりました。

また、2010年くらいまではクラウドと言えば、「うちの大事な開発の計算を外部の計算機でするのはどういうことだ」「それも、どこにあるかわからない計算機で」と、反対する人が必ず企業の中にいて、はっきり言って、クラウドのイメージは良くなかったです。解析技術者たちは外部計算資源を使うことの有効性を分かっているけど、 総務職、管理職や取締役がその有効性よりも危険度を見ていたため、なかなかクラウド利用が推進できていない状態でした。 しかし、10年ほど前から写真などをシェアするためにクラウド環境にデータを置くことが身近になり、クラウド利用に対する認識が変わってきたと思います。

FOCUSスパコンはクラウドCAEサービスですが、スパコンがどこにあるかが分かっていて安心です。また、こちらに来れば、運用している人たちの顔が見えることも、他のクラウドサービスとは違いますね。また、2011年の東北地方の地震の際に、計算資源にダメージを負った企業が相当数いて、外部計算資源をリスクマネジメントの観点で積極的にとらえるというのが成り立ったということもこの10年で大きく変化したことだと思います。

仕事のやり方も変わりました。今までは、計算式は成り立っていても、計算資源が足りないと解析ができない。でもここだとできる。弊社の技術者は、最近口癖ですよ、「あ、これはFOCUSスパコン使わないとむりだな」とか。「Fシステム空いてる?」みたいな。この間実施した「本能寺の火災再現」の計算は、社内資源だと解を得るのに3か月かかるのを、顧客の番組放送に間に合わせるためにFOCUSスパコンを利用しました。まず、複数の可能性の目途を立て一斉に並列で計算を回し、うまくいきそうなところを絞り込んだ上で最後にとどめを刺して解を出した。
このような手法は企業のオンプレミス上ではできません。計算資源を占有してしまい他の業務に使えず、全体の開発事案が停滞します。そういうときは、FOCUSスパコンの様な外部計算資源を使うという仕事の流れがこの10年で出来上がったというのを実感しますね。

FOCUSスパコンに10年寄りそってきましたが、ここ高度計算科学研究支援センターは企業の仕事のやり方や可能性の変化に付き合ってきた場所であると思います。

FOCUSスパコンに今後期待すること

計算資源をどんどんブラッシュアップされているので、このスタンスを崩さないで、このままのFOCUSでいていただければ良いと思います。  

スーパーコンピュータ「富岳」の共用も始まりましたが、クライアントを大規模計算資源に誘導する立場としては、まずは一般免許取って慣れてから、限定解除の運転に乗り換えてもらいたいです。これは、FOCUSのミッションと同じですね。今までスパコンとか外部計算資源を一度も使ってない方には、FOCUSスパコンを使って、慣れてから「富岳」へ移行して欲しいです。FOCUSは長年、デスクトップ何台も並べたような資源で計算をしてた人達に、もっと早くなりますよ、と啓発活動をし続けられた結果、今のユーザー数になった。その中から「京」や「富岳」へと移行された方も多いです。

社内計算機を使っていた我々のお客さんにFOCUSスパコンなどの社外計算機を使ってもらうと、解析対象が広がり計算量も増え、繁忙期の受託解析の仕事も増え、それがソフトウェアの増設に繋がります。それだけ手が増え、解析でやると全体の業務効率が上がることがきちんと見えてきます。「スパコンは時間をお金で買っている」ことを実感できます。 Time is Moneyですから。
開発競争に勝つためには、どこかで開発期間を短縮しないといけない。そのアプローチとして外部計算資源を運用していく、かつ大規模計算である、それが定着する流れです。

   
      
※以下は、リチャード・ケニー様に外部計算資源としてFOCUSスパコンを利用している技術者としての観点でアンケートに回答していただきました。    

FOCUSスパコンの評価

2011年以来、私はFOCUS上で大規模なマルチノード計算を実行するために様々なオープンソースベースのコード(例えばOpenFOAM、Helyx、Elements、CFDEM、OpenCascadeなど)を使用してきました。

当初はこのサービスが民間企業にとって役に立つのか懐疑的でした。それは使い勝手への懸念でした。しかし、すぐにそれが間違いであると分かりました。
大規模で信頼性の高い計算へのアクセスは証明されており、何年にもわたってFOCUSが様々な重要なサービスを提供していることは明らかです。

私が他のクラウドサービスに比べて優れていると思うサービスを上げてみます。

i)大量のデータを安全に保存する信頼できるプラットフォーム
ii)さまざまな安価なジョブキューへの便利なアクセス
iii)少なくとも3週間は安定して実行できる数百のコアを使用した計算環境
iv)タイムリーに対応するサポートサービスへの便利なアクセス
v)ソフトウェアとハードウェア両方の定期更新
  特に最近ではリモート処理ユーティリティ、NICE-DCVが実装されました。
vi)ユーザーによって便利にカスタマイズできる操作環境

FOCUSスパコンに今後期待すること

今後、解析データ量は必然的に増加するため、FOCUSが引き続き堅実なサービスを 提供してくれることを期待しています。

 
以上の内容は、インタビューとアンケートの回答をまとめたものです。(2021年7・11月実施)

    

株式会社CAEソリューションズ
FOCUSテクニカルセンター
センター長 田倉 啓之 氏



    

株式会社CAEソリューションズ
技術部 CFDエンジニア
博士 リチャード・ケニー 氏
  
  



  

FOCUSスパコン利用事例

CAEソリューションズ様の事例は、財団作成のスパコン シミュレーション利用事例集に掲載しています。
事例PDFは、以下からご覧いただけます。
    

1.火災調査におけるFDS信頼性評価
 計算規模    :12~24並列、100万~500万メッシュ、20~60分の事象
 利用ソフトウェア:FDS(Fire Dynamics Simulator) Ver5.5.3
 事例PDFはこちら
  

2.大規模数値シミュレーションによる波力発電システムの性能評価
 計算規模    :96~256並列、200万~700万メッシュ、700~1500秒の事象
 利用ソフトウェア:OpenFOAM-2.1.x (waveFoam)
 事例PDFはこちら
  

3.「本能寺の変」における建造物火災再現シミュレーション
 計算規模    :Fシステム 約1000万セル、 144並列
 利用ソフトウェア:SOLIDWORKS、PyroSim、 FDS6.7.0
 事例PDFはこちら
    


  • 産業用スパコン利用相談センター
  • 賛助会員募集中
  • 「富岳」 利用研究課題の募集
  • ファーストタッチオプション「富岳」
  • 計算科学研究センター (R-CCS)