メニュー

FOCUSスパコン利用者様の声_芝浦メカトロニクス株式会社

   

実業務に近い解析での計算速度や利用のための費用について6社・団体程度のサービスを調査し、最終的にFOCUSスパコンを選定しました。

 

当初の目的であった流体解析ソフトウェアの高速化は実現でき、複雑なモデルを適用可能になっています。

  


芝浦メカトロニクス株式会社様は、神奈川県横浜市に本社を置く精密機械メーカーです。(1939年設立) ご利用にあたっては、複数のサービスと比較検討をされ、FOCUSスパコンを選ばれたそうです。今では当初の目的の流体解析ソフトウェアの高速化は実現でき、スパコンの新しい用途の模索やスパコン利用者の育成に努めておられます。今回は、技術本部 研究開発グループ  主幹 山崎 修 様にスパコンの利用前から現在に至るまでのご苦労された点など、率直にお話しいただきました。  

  

FOCUSスパコン利用前に抱えていた課題

半導体や液晶製造装置の開発のために流体シミュレーションを用いた内部の空気や薬液の挙動の予測などを行っていますが、この計算時間が非常に長時間になっていました。また、精度の高いモデルを使いたい場合でも、計算時間の関係で精度の低い簡易モデルを使用せざるをえない場合がありました。

FOCUSスパコン選定の理由・決め手

流体解析ソフトウェアベンダーのカンファレンスで、スパコン利用サービスの存在を知りました。実業務に近い解析での計算速度や利用のための費用について6社・団体程度のサービスを調査し、最終的にFOCUSスパコンを選定しました。
選定の理由は、
・利用可能なノード数が多く計算速度を上げることが可能なこと
・利用料金が安価なこと(アカウント利用料や並列数による割引、ストレージ利用料金なども含む)
・使いたい時にすぐ使えること(他サービスでは計算開始前に毎回15分程度、環境構築が必要なサービスもありました)
・安定性(他サービスでは、計算が途中で落ちることがあった) などです。

苦労した点や工夫した点

利用申請前は、計算が高速化することによるメリットを上層部に説明することに苦労しました。
利用申請後も、実際にFOCUSスパコン上で流体解析ソフトウェアを動作させるため、セミナーを受けに何回か横浜から神戸まで往復する(当時は東京開催のセミナーはなかったと記憶している)など大変でした。

流体解析ソフトウェアが動作した後は、運用に苦労しました。例えば当初は弊社のデータ通信速度が遅く、HDDを持って神戸まで行ってデータを直接ダウンロードするなどを行いました。(現在はオンライン会議のために社内のデータ通信速度はある程度改善しています。)

現在はスパコンを使って当たり前となってしまい、スパコンの新しい用途を求められて苦労しています。これに対しては流体解析以外の解析(スパッタ成膜解析など)や流体解析の中でもパラメータや形状の最適化などの新しい分野、OpenFOAMなどのオープンソースソフトウェアの利用による計算費用の低減などを模索しています。さらに、スパコンを使える人員を増やすことにも注力しています。

利用の成果と今後の展望

当初の目的であった流体解析ソフトウェアの高速化は実現でき、複雑なモデルを適用可能になっています。
ただし、モデルが複雑になるにつれて、出力ファイルも膨大なものになり、ある解析結果が出た原因の究明が困難になるという問題も発生しています。
また複雑なモデルを使用しているため、精度は上がったが解析時間自体は考えていたよりは短縮していないという悩みもあります。

FOCUSスパコンの評価

利用成果の公開が任意であったり、アカウント発行などのサービスがスピーディであったりと使いやすく、基本的には満足しています。ただし以下が弱いと考えており、改善していただけると助かります。

・現在、Dシステムは終了し従量利用のFシステムでは、あるはずのノード数の数分の1しか使用できず、高並列の計算がしにくい状態になっています。

・高並列用のA、FシステムのCPUは若干古いと考えています。最新CPUの多並列対応のシステムを導入していただけると助かります。

・インターネットを介した回線(SSL-VPN)が、ここ1年ほどは以前の数分の1の速度になっているように感じます。こちら側の問題かとも思っていたのですが、最近他の場所でアクセスする機会があり、そこでも同じでした。

・コロナ禍のためしかたがないのですが、最近はセミナーやイベントが少なくなり残念に思っています。落ち着いたら再開していただけると嬉しいです。

FOCUSスパコンに今後期待すること

高並列の計算を気軽にできるようなシステム構成と運用を期待しています。
また、スーパーコンピュータ「富岳」に関して興味があります。使用法のセミナーなどを行うなど、より「富岳」との連携を進めていただけることを期待しています。

 
以上の内容は、アンケートの回答とインタビューをまとめたものです。(2021年7・8月実施)

    
      

芝浦メカトロニクス株式会社
技術本部 研究開発グループ
主幹 山崎 修 氏
   


      

インタビューを終えて

アンケートに書かれた、FOCUSスパコンを利用するに至った理由やスパコン利用者の増員などについての近況までを詳しく伺いました。スパコン利用の利点を社内で説くことを、スパコン利用開始前の時だけではなく、現在も継続されているとお聞きし、スパコン活用に取り組む姿勢が常に前向きで素晴らしいと思いました。「富岳」の利用にもご興味があり、今後も益々スパコン利用が進むことにFOCUSスパコンがお役に立てればと願っています。

FOCUSスパコン利用事例

芝浦メカトロニクス様の事例は、財団作成のスパコン シミュレーション利用事例集に掲載しています。
事例PDFは、以下からご覧いただけます。
   

1.クラウドを利用したスピン洗浄装置の気流解析 -挙動解明と費用考察-
 計算規模    :Fシステム 4ノード(160並列)3日
 利用ソフトウェア:STAR-CCM+
 事例PDFはこちら 
   

2. スーパーコンピュータによるスパッタ成膜シミュレーション高速化 -金属の膜厚分布予測への適用-
 計算規模    :Fシステム (最大36ノード)で1ケース3時間程度
 利用ソフトウェア:独自開発の解析ソフト(Fortran、Intel MPI)
 事例PDFはこちら


  • 産業用スパコン利用相談センター
  • 賛助会員募集中
  • 「富岳」 利用研究課題の募集
  • ファーストタッチオプション「富岳」
  • 計算科学研究センター (R-CCS)