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FOCUSスパコン利用者様の声_三ツ星ベルト株式会社

  

スパコン利用技術的にはほとんど初心者でしたが、基本的な使い方はFOCUS主催の利用講習会で把握できました。

 

シミュレーションを高精度化するため、社外または社内の計算機で並列計算を実施するノウハウを習得し、それを実際に社内のものづくりに活用して運用するという当初目的はほぼ達成できました。

  


三ツ星ベルト株式会社様は、兵庫県神戸市に本社を置く、1919年創業のゴムベルト製造企業です。FOCUSスパコンの運用初年度(2011年)からスパコンをご利用いただいていますが、利用当初は技術的にはほとんど初心者だったそうです。今ではノウハウを習得され、数千並列の計算も実施できるまでになられました。また、人材の育成にも積極的に取り組まれています。どのようにしてスーパーコンピュータを活用できるまでになったかの経験を 産業資材基盤技術部 解析課 専任課長 德田 明彦 様 にお話しいただきました。  

  

FOCUSスパコン利用前に抱えていた課題

・製品設計のためのシミュレーションを高精度化するため、大規模並列計算の必要性は年々高まっていました。

・ 当時の社内にはPCクラスタ・スパコンなどの大規模並列計算環境がありませんでしたが、これらを設備投資で導入するには多大なコストが必要となるため、まずはその導入効果について社外計算機を借用して検証する必要がありました。

・ 将来的にシミュレーションの実行は大規模並列計算機環境に移行することは明らかでしたが、それを利用するための知識・技術が不足していました。これを早急に習得する必要に迫られていました。

FOCUSスパコン選定の理由・決め手

きっかけ

当社がFOCUSの賛助会員であったため、FOCUSスパコン導入計画時より情報提供を頂いていました。

選定理由

・ 利用料金が比較的安価。
・ 利用手続きが簡単で迅速。
・ 利用成果公開の義務が無い。
・ 技術サポートが充実している(WEBの問い合わせシステム・FAQなど)。
・ スパコン入門者向けに、実際にFOCUSスパコンを用いた講習会が実施されている。
・ 賛助会員の特典が充実している(FOCUSスパコンの利用料金充当、実習室無料利用など)。

他のスパコンと比較して

産業利用専用スパコンとして、企業が利用する上で何が重要なのかという事をよくご調査された上で運用されています。手続きが簡単で迅速、料金の支払い方法に複数の選択肢がある、接続方法やデータ転送方法も様々な形態を選べるなど、それぞれの企業における事情に柔軟に対応して頂いていると思います。

苦労した点や工夫した点

FOCUSスパコン自体の利用に関しては、それほど苦労しなかったと思います。スパコン利用技術的にはほとんど初心者でしたが、基本的な使い方はFOCUSが主催される利用講習会で把握できました。また、並列計算に関する知識については、大学やCAE懇話会などの団体が開催する講習会に参加して勉強しました。

最も苦労や工夫を必要としたのが、FOCUSスパコン上で使用するソフトウェアです。社内で利用している商用のシミュレーションソフトウェアはライセンス料金が高額で、並列数によって料金が上がるため、スパコン上で多数並列の計算を実施することは非現実的でした。そこで利用料金無料のあるオープンソースソフトウェア(OSS)のシミュレーションソフトウェアを利用したく思ったのですが、それを利用するにはそのソフトウェア固有の活用技術とスパコン上での環境構築スキルが必要であり、それは初心者に太刀打ちできるものではありませんでした。それで困っていたところ、FOCUSのコーディネーターがそのOSSの開発者である大学の先生をご紹介下さり、初回の顔合わせにもご同席くださいました。それがきっかけでその先生と共同研究させて頂けることになり、そのOSSを当社製品向けにカスタマイズしてFOCUSスパコンやスーパーコンピュータ「富岳」上で何千並列であろうとライセンス無料で計算実施できるようになりました。FOCUSにはその後もFOCUSスパコン上でのソフトウェア動作に関して問い合わせを通じてご支援いただいております。大変感謝しております。

利用の成果と今後の展望

シミュレーションを高精度化するため、社外または社内の計算機で並列計算を実施するノウハウを習得し、それを実際に社内のものづくりに活用して運用するという当初目的はほぼ達成できたと考えています。

また今後の展望ですが、FOCUSスパコン利用で得たシミュレーション技術を生かして、「富岳」などのより大きな規模のスパコン活用にも取り組んでいきたく思います。

FOCUSスパコンの評価

いわゆる「箱モノ」として高性能なスパコン施設が単に存在するだけでは、一般の企業にはなかなか活用できません。そこをFOCUSスパコンは産業利用を念頭に置いたきめ細やかな運営と、膨大な回数の利用講習会の実施、企業訪問や学会・業界イベント展示参加における説明などによって、初心者でも利用しやすい環境をつくり敷居を下げられたと思います。このようにハードウェアと利用支援活動を常時積極的に行っている組織は他にあまりないかと思います。

FOCUSスパコンに今後期待すること

FOCUSスパコンへの期待

商用HPCクラウドサービスは様々なものが出てきていますが、上述の通り、その運営やサポートを含めてFOCUSスパコンの利用しやすさはまだ優位と思います。そのため、古くなったリソースの置き換えを是非ともお願いしたく思います。現在、Dシステムが引退し、Fシステムも共用キューへの割り当てが少ない状況です。古いAシステムやDシステム程の代替があればと思います。

FOCUSへの期待

FOCUSスパコンだけでなく、現在既に試行を始められておられます、「「富岳」を企業が利用しやすくなる枠組み作り」に期待しています。手続きの簡便化だけでなく、出来れば料金支払いについてもFOCUSを経由する形で、一括前払い方式のFOCUSスパコン利用料金の一部を「富岳」向けに割り振ることなどが出来るとありがたいです。そうするとFOCUSスパコンXシステムで試行して「富岳」で本計算という利用がしやすくなります。

 
以上の内容は、アンケートの回答とインタビューをまとめたものです。(2021年7月実施)
  

三ツ星ベルト株式会社
産業資材基盤技術部 解析課
専任課長 德田 明彦 氏


インタビューを終えて

FOCUSスパコンの利用を始めた頃は、シミュレーション業務に携わる人員は数名。設計部門へのシミュレーション技術の教育にも取り組まれ、今では、解析部門以外の人材も増えたそうです。また、社員教育の場として、財団施設(実習室)の利用制度をご活用いただいていることは、地元企業ならではの賛助会員特典利用法であると感じました。

特に印象に残ったお話は、シミュレーションの目的について伺った内容です。
シミュレーションは、コスト削減・開発期間短縮に効果があるということはよく言われていますが、これに加えて、試作工程を減らすことがCO2削減や地球温暖化対策に繋がるとの認識も以前からされていたとのこと。近年ではCSRやSDGsなどへの会社の取り組みとも重なり、シミュレーションがコスト削減による利益貢献だけではなく社会的責任の面でも貢献しているという認識が深まっているとのことです。

FOCUSスパコン利用事例

三ツ星ベルト様の事例は、財団作成のスパコン シミュレーション利用事例集に掲載しています。
事例PDFは、以下からご覧いただけます。
   

1.変速機用ゴムベルトの構造解析シミュレーション
 計算規模    :最大4ノード使用
 利用ソフトウェア:有限要素法構造解析ソフトウェア(MSC.Marc)
 事例PDFはこちら
 

2.自動車エンジン用Vリブドベルトの摩耗シミュレーション
 計算規模    :Aシステム 最大4ノード(48コア)使用
 利用ソフトウェア:有限要素法構造解析ソフトMarc  
 事例PDFはこちら
 

3.短繊維複合ゴム材料の物性予測シミュレーション
  -FOCUSスパコン活用による計算の高速化・大規模化-  
 計算規模    :Dシステム最大52ノード使用 最大1億4千万自由度程度
 利用ソフトウェア:有限要素法構造解析ソフトウェア(FrontISTR)  
 事例PDFはこちら
 


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